Q.冬の日光で本当に暖房できますか?

太陽熱コレクターは、太陽からのふく射熱を受け止めてエネルギーを得ています。
したがって影響するのは、いかに空が青く澄んでいるかということと、快晴時間がいくらあるかということです。
日本列島の内陸部や太平洋側の地域では、冬季は快晴が多く、澄んだ青空が広がります。
世界的にみても太陽熱暖房に適した地域だといえます。北部日本海側は冬季の日照は少なく、夏季の日照は多いので、太陽熱給湯に絞った太陽熱利用が有利な地域といえます。

Q.2階も暖かくなりますか?

コンクリート蓄熱層からのふく射熱により建物全体が暖められることで2階も暖かくなります。
上下階の温度差をできるだけなくすためには、十分な断熱工事を施すことと、熱損失も少ない総2階構造、そしてリビングに吹き抜けのある間取りがベストです。
天候が悪く蓄熱温度の下限レベルが続く時などは、補助暖房(エアコンなど)を使用されている場合もあります。

Q.太陽熱コレクターのガラスの汚れが心配ですが?

雨で汚れが流れますので、通常の天窓と同じく日常的なクリーニングの必要はありません。
しかしながら新設後の美しさを保つ事は不可能ですから、あらかじめ汚れによる日射取得量の低下を5%程度見込んであります。

Q.雪で太陽熱コレクターが覆われたときはどうしますか?

ハイブリッドソーラーハウスの基本設計は冬の日射しを考慮して屋根の勾配がきつくなっています。
したがって、コレクター表面のガラス部分に雪が大量に積もる前にすべり落ちてしまうのが一般的です。
それでも雪が集熱ガラス面を覆った場合は、熱媒液を補助熱源装置で暖め、屋根面への運転を行うことで強制的に融雪させる事が可能です。

Q.床下の配管は水垢などで詰まったりしませんか?

水垢については、鉄製の水道管などでサビが発生して起きる現象で、樹脂製のパイプでは化学的に発生の可能性はありません。
また、熱媒液は密閉された回路を循環するだけですから、外部から異物が入る恐れがなく、目づまりの心配もありません。

Q.蓄熱コンクリートをもっと厚くすれば蓄熱量は増えますか?

1立法メートルのコンクリートが1℃冷えるとき、1500立法メートルの空気を1℃暖めることができます。
この優れた特性を生かしてできるだけ蓄熱層を厚くし、補助熱源が不要になるぐらいの蓄えができれば理想的ですが、不必要に厚くしても効果的い働かないこともわかっています。
逆に薄くし過ぎると24時間暖房に必要な蓄熱量が確保できません。現在の基本設計である15~20cmが適切な厚みだといえます。

Q.太陽熱コネクターの設置面積はどうして決めますか?

建物の熱負担(暖房に必要なエネルギー)の計算や実績経験から、標準的には蓄熱床面積の35%から40%程度が最適です。
しかし、建物の条件や補助暖房をどの程度許容するかによって、この比率は変わることもあります。

Q.太陽熱コネクターの設置面積はどうして決めますか?

建物の立地条件や断熱性能によって大きく異なりますが、条件を設定すれば専用ソフトでシュミレーション計算が可能です。

Q.ハイブリッドソーラーハウスにより削減できるCO2の量は?

北関東地区では12枚の太陽熱コレクターを設置したハイブリッドソーラーハウスの場合、年間約1000Lの灯油を節約できます。
灯油1Lを消費した際のCO2排出量は、2.53kgですから、年間で約2.53トンものCO2排出を削減できる事になります。

Q.低温やけどの心配はありませんか?

一般的な床暖房(電気や温水方式)の場合、スイッチを入れてから暖かくなるまでの立ち上がり時間を短くしたいため、床板裏面の熱源温度は50度以上の高温になります。
床を覆うものがない状態ですと、この熱は室内へ向かって放出されますから床表面温度は30度程度を維持します。
ところが床の表面に長時間寝そべって放熱を押さえ込んでしまうと接触面の温度は床下の熱源温度に近づきます。
低温やけどを起こすのはこのような現象です。
ハイブリッドソーラーハウスは、立ち上がり時間の不要な蓄熱方式ですから床下の蓄熱温度は30度から35度程度と低温やけどの心配はありません。

Q.カビやダニが繁殖しませんか?

カビやダニが発生する大きな原因のひとつに結露があげられます。
通常の暖房の家では暖房を切る夜間から朝にかけて空気中の水分が家のあちこちで結露し、カビやダニの発生を促進しています。
ハイブリッドソーラーハウスは、24時間家全体を暖めていますから、結露の原因となる冷たい場所がありません。
この結果、カビやダニの発生が極端に少ないことが実証されています。

Q.空気集熱方式のソーラーハウスや太陽光発電との違いは?

空気集熱方式とは、屋根面のコレクターなどで空気を暖め、ファンの力で床下へ通し室内へ吹き出す方式です。
問題点の第一は、液体に比べて同体積あたり3000分の1しか熱を運べないため集熱効率が悪く、さらにコンクリートなどの蓄熱体への伝達効果が少ないことです。
この結果、日が沈んでから翌朝にかけて、もっとも暖房が必要な時間帯の暖房効果があまり期待できません。
問題点の第二は、ダクトや色々な箇所を通過した空気が化学物質やホコリに汚染される危険があることです。
問題点の第三は、暖かい空気は上昇するため、室内の上下温度にムラが出ることと、吹き出し直下と部屋の端での水平方向での温度ムラが発生しやすいことです。
太陽光発電については、生み出される電気エネルギーが何にでも使用できるという質の高さは注目に値しますが、太陽エネルギーから取り出すエネルギー量がハイブリッドソーラーハウスと比較して3~4分の1と効率が悪く暖房や給湯を目的とする場合には不利といえます。
電力ならではの用途を考え、使い分ける工夫が必要です。